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唐櫃-KARABITU-

華乃都と亜久野によるレイアース二次創作小説blogです。 PC閲覧推奨。

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Affection


亜久野個人SS。

珍しくシリアス気味です。
苦手な方は回れ右!

大丈夫!読んでみたい!という奇特な方だけどうぞ。


▽Affectionを読む



眩しい閃光。
苦しさを通り越して激しく痛む胸。
目の前が霞むのは眩しさのせいかの涙のせいか…果たしてどちらだろうか。



『ザガート…やっと…貴方だけのものに…』














「……っ」



声にならない悲鳴と共に飛び起きた。
もう随分経つのに夢に見てしまう。
震える手を胸の前でぎゅっと握り、強く目を閉じても、纏わりつく夢の余韻が消えない。

二度目にセフィーロを訪れた時も、全てが終わり世界が平和になった今でも、あの世界の人々は誰も自分たちを責めることはしない。
エメロード姫を唯一の肉親としていたあの人も…





「…フェリオ」





こんな時なのに浮かぶ姿も、呼んでしまう名も彼のもの。
本当なら彼が一番自分を責めるはずだろうに、彼の口から出てくるのは労りの言葉ばかり。





何故、そんなに優しく出来るのですか?

何故、そうやって赦してしまえるのですか?

何故、笑顔で迎え入れて下さるのですか?





尋ねてしまいそうになるけれど、答えを聞く事を怖がっている自分がいる。
もし同様の立場に立たされたなら、同じように姉を持つ身として、優しく接することが出来るだろうか。
その人を赦せるだろうか。
笑顔で迎え入れることが出来るだろうか。

出ることのない答えを探して自問自答を繰り返し、戸惑いを覚えては、涙をこぼす日が続いた。






『お前には笑っていてほしい…俺がお前の事を思い出すときは、いつも笑顔のように』






そう言って抱きしめてくれた時の感覚がふと蘇る。
彼にとって思い出すに値する人物であることを嬉しく思う反面、そんな風に喜んでいる自分の不謹慎さに居た堪れなくなる。

彼がくれる笑顔や優しさが嬉しい。
でも、その彼の姉を消してしまった私が傍に居る事は赦されるのだろうか。





初めは、笑わなくてはと笑顔を作った。
けれど次第に、心配をかけたくなくて笑顔を向けていた。
今では、自然と笑みがこぼれてくる。

それだけ彼に惹かれてしまった。
そして同じように、彼も自分を好いてくれている。
何度目かに会った時に、指にそっとはめてくれたリングが嬉しかった。





『俺の幸せはお前が運んできてくれたし』





そう言って笑った彼の顔がリングに重なる。
震えていた手は温まり、いつしか夢の余韻さえも消えていることに気付いたのは、自らも自然に笑みを浮かべていることに気付いたとき。





答えは出さなくてもいいのかもしれない。
ふと、そう感じる。
自分がもし同じ立場ならと考えることで、何かが変わるわけではない。
ましてや、赦す赦さないは自分が決めることではないのだから。



私を受け入れて、眩しいほどの笑顔を向けてくれるあの人ために何が出来るのか。
考えるべきは、そういうことなのかもしれない。






「…ありがとう、フェリオ」





そっと囁いて、リングに口付ける。
本人にする勇気はまだないけれど、いつかあの太陽のような笑顔に、心からの笑顔で答えたい。

そのために出来ることは、信じること。
傷が消えることはないけれど、癒えない傷はないのだと信じて傍に居たい。
ただの自己満足かもしれないけれど、あの笑顔を失いたくはない。






いつの間にか、窓の外が明るくなってきている。
今日は大切な友と一緒に、大切な世界へ、大切な人たちへ会いに行く日。






「光さん、きっとご機嫌ですわね…海さんはまたケーキを焼いて来られるのでしょうか」






そんなことを呟いていると、いつだったか、海のケーキを頬張りながら彼が言った言葉が頭を過ぎった。






『風は料理するのか?』

『え?…ええ、毎朝お弁当を作っていますから、一通りは出来ますわ』

『ふーん…そうなのか』

『はい、それがどうかしましたか?』

『ん?いや、何でもない』






まだそれほど会う回数を重ねていない頃のこと。
その時はさほど気にも留めずに、そうですか?と返したはず。



「…食べたいのでしょうか、私の…」



言葉にしてしまった途端、顔が火照るのが自分でもよく解る。
思わず続きの言葉を飲み込んでしまったが、視線は既にお菓子の作り方が書かれた本が収納されている本棚へ向いている。
その事実に気付いて更に顔が火照るが、もう足は本棚へと進んでいる。

喜んでくれるだろうか。
本をパラパラと捲りながら、異世界の彼に思いを馳せる。

約束の時間は13時。
今はまだ6時。
ケーキは無理でも、クッキーなら焼けるかもしれない。
クッキーの作り方が書いてるページにしおりを挟み、勢い良くカーテンを開けた。





「口に合えば良いのですが…」





不安を口にするものの、きっと喜んでくれるという不思議な確信に追い立てられるように、風は部屋の扉を開けた。






Affection





turn just a regret to unbounded affection...

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