trust
2008.10.14 |Category …小説~亜久野SS~
TOAよりジェイアニSS。
フェ風サイトなのに、レイアースと激しく無関係なSSをアップしてみる。
今何故どういう風の吹き回しでジェイアニなのかは、とっても亜久野の大人な事情です。
▽trust を読む
農業が盛んな村、エンゲーブのすぐ近くにある聖獣チーグルの住む森。
穏やかな様子を見せているものの、所々に道を歩く魔物の姿がある。
そんな森を歩く二つの影。
一つは茶色の長い髪に赤い瞳を持った男性。
もう一つはピンク色が良く似合うツインテールの少女。
小走りで道を行き、きょろきょろと辺りを見回しては後ろを歩く男性を急かすように手招きをする。
そんな光景が森の入り口からずっと続けられていた。
「もう!大佐!もっと急いでくれなきゃ何時までたってもイオン様が見つからないじゃないですかぁ!」
「おやおや、私はとても急いでいるのですが?」
森の中ほどまでは来ているだろうか。
段々と木々が鬱蒼としてきたところで、少女が痺れを切らして後ろの男性に声を上げた。
そのどこが急いでるんですか、という次の台詞が少女の口から発せられたとほぼ同時に、赤い瞳の男性はサッと地を蹴った。
「へ?」
何事かと目を見張り気の抜けた声を上げた頃には、素早く横を走り抜けたジェイドがいつの間にか構えた槍を草むらから飛び出したライガに命中させるという一連の動作を終えていた。
「いけませんねえ、現役の守護役ともあろう方が敵の気配に気付かないなんて」
「ぶーぶー。それは大佐が不真面目だからアニスちゃんが注意してあげようとしてたせいですよー」
「おやおや、どんな時も辺りに気を配るのは戦を生業にする人間の常識ですよ?」
「普通怒ったら気が散ります!大佐がちょっとおかしいんですー」
呆れたようにわざとらしく肩を竦めて溜め息をついたジェイドに、アニスはますます頬を膨らませる。
しかし、何かを思い付いたのか膨れていた頬を引っ込め、元気よく手を上げた。
「はいはーい!大佐!ズバリ強さの秘訣は!?」
「人の生き血を飲むことです」
「はわわわわわわ…」
「本気にされると複雑です」
「…大佐なら本当に飲んでそう…」
「アニース。何か言いましたか?」
ちっとも複雑そうでない顔と声色を見せる相手を盗み見ながらボソリと零した言葉がどうやら聞こえていたらしい。アニスは頭上から降ってきた不自然に爽やかな声に慌てた。
「あわわわ、じゃあじゃあ強さの秘訣のホントのところは!?」
無理矢理先程の話を持ってくると、ジェイドは視線を巡らせ何事かを考え出した。
話題が逸れたことにホッと息を吐き出すと、どんな答えが出て来るのだろうと興味津津に遥かに背の高い相手を見上げた。
人の生き血でなかったら処女の肉とか…‥う、ハマり過ぎてて逆に怖い、などと考えていると答えを導き出した瞳と目が合った。
「ズバリ、秘訣は」
「秘訣は!?」
trust
「アニスが一緒にいることです」
Fin
オマケ
「大佐、それって…」
「いやあ、子供の面倒を見るのは大人の役目ですから」
「……(ちょっとトキメイた私が馬鹿だった)」
PR
●Thanks Comments
●この記事にコメントする
●この記事へのトラックバック
TrackbackURL: